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「苦悩する男」ヴァランダー最後の事件。

 夕べも今朝も頭痛なし。

 遅ればせながら、ヘニング・マンケル「苦悩する男」(創元推理文庫)読了。しかしこのエンディング、切なすぎて胸が苦しい。

 長く続くシリーズものの醍醐味は、作者・主人公・読者が互いに歳を重ねて成長していくところにある。本作は刑事ヴァランダー最後の事件、定年間近になっている主人公は糖尿病を抱え、老いることに不安を抱いている。事件に取り組んでいる最中、たまに記憶が飛ぶ描写があり、これはもしかして? と思わらさるのだが。

 シリーズが終わるのは(1)作者が亡くなる、(2)主人公が死ぬ、(3)作者が当該シリーズを書かなくなって久しい、のいずれかである。前2者はざんねんだがあきらめるしかなく、(3)はモヤモヤするものの、待つのも楽しみではある。しかし本作でマンケルが執った手法とは… 孫娘がヴァランダーに駆け寄ってくるラストシーン、しかしその女の子が誰なのか、なんという名前か、ここでなにをしているのかまったくわからなくなって













「闇が深く、濃くなった。クルト・ヴァランダーはゆっくりとその闇の中に消えていった。それから数年後、彼はアルツハイマーという名前のぽっかりと空いた宇宙に送り出された」

「そのあとは、何もない。クルト・ヴァランダーの物語はこれですべて終わりである」

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